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2017.08.21(月)

海外における個人情報流出事件とその対応 第206回 激増するスケアウェア ニューヨークタイムズも悪用の被害 (1)手間取ったスケアウェア削除

国際 海外情報

 9月13日、ニューヨークタイムズが、WebサイトNYTimes.comの読者に対して、スケアウェアのポップアップについての警告を行った。NYTimes.comにアクセスするとポップアップウィンドウが現れ、システムがウイルスに感染しているというメッセージが表示される。しかし、ウイルス駆除と称して、価値のないクリーンアップのためのユーティリティソフトを買わせようとするものだ。

 NYTimesのページにアクセスすると、ポップアップ広告が表示され、クリックすると、PCはウイルススキャンを開始する。そして、スキャンの結果、「マルウェアに感染している」とのメッセージが現れた。

 ニューヨークタイムズでは、WebページとTwitterで、「(ポップアップの)警告を見ても、クリックしない」ようにと呼びかけた。事態が確認された13日は、Webサイトのフロントページで警告が行われていた。警告では同時に「ポップアップが表示されるのは、権限のない広告」によるものだとして、「同様の事件が再び起こることがないように努めている」と説明していた。

 事件は、ウイルス対策ソフトをはじめとするセキュリティサービスのプロバイダ、Trend Microもブログで取り上げている。マルウェアに感染されているというのは嘘で、メッセージが言うような駆除は必要ないという。この攻撃で勧められる偽のウイルス対策ソフトはPersonal Antivirusで、古典的なスケアウェアだ。

 9月13日付の『MediaMemo』はスキャン結果のスクリーンショットも紹介している。スキャンの結果、Email-Worm.Win32.NetおよびEmail-Worm.Win32.Mydの2つのマルウェアを探知したとの結果が表示される。どちらもリスクレベルは重大だとなっていて、アドバイスとして、"この脅威をできるだけ早急に除く必要がある"という。

 14日付のTrend Microのブログを書いたRick Fergusonによると、Personal Antivirusは38件の脅威を発見したと報告してきたらしい。これらの脅威は実際には存在しない。しかし、感染したファイルのクリーンアップのために、Personal Antivirusは"Remove threats(脅威を除く)"ボタンを押すように勧めてくる。そしてボタンを押すと、1年間有効のソフトウェア使用許諾ライセンスは$59.95などのセット料金を支払うように求められる。支払いにクレジットカードの番号や名義、有効期限などの詳細情報を伝える必要があるため、ユーザは個人情報盗難の危険にもさらされる。

 Fergusonは、PCが感染されているなどというポップアップが表示された場合は、詐欺なので無視するようにとアドバイスしている。ウィンドウを閉じて、ブラウザキャッシュを削除した上で、安全のために、HouseCallのような本物のスキャンソフトを実行しておくべきだという。事件を報じた『Computer World』は、ニューヨークタイムズは、ポップアップについての苦情のe-mailを100件近く受け取っていたようだ。

●騙されたニューヨークタイムズ

 14日付でニューヨークタイムズの"Times Web Ads Show Security Breach"という記事でも、自社で発生した事件について詳しく報じている。記事によると、ニューヨークタイムズの広告のほぼ半数は、広告ネットワークからだ。ポップアップの問題についての報告は週末にあったことから、ニューヨークタイムズの技術部、および広告担当のスタッフは、広告は、社外の広告ネットワークから紛れ込んだのではないかと考えていた。Diane McNultyスポークスパーソンは、偽の広告の表示を止めるために、ニューヨークタイムズでは行動を起こしている。

 ただし、その後の報告で、広告はサイトの広告運営チームによって承認されたもののようだとMcNultyは訂正している。これは、nytimes.comにアクセスしたユーザから、12日から13日にかけて表示を止めようとした後も、ポップアップ広告についての苦情が続いたためだ。Fergusonは、「オンラインディスカッションによると、問題は24時間近く継続していたようだ」とブログに書いている。

 ニューヨークタイムズのMarc Frons最高技術責任者も、「第一印象は、第三者の広告ネットワークだった」として、まずはそのエリアから調べたことを説明している。見当違いのところを探していたため、「シャットダウンに時間がかかった」ようだ。

 スケアウェアを仕掛けた広告は、米国のIP電話会社Vonageを装った何者かが、NYTimes.comに掲載するよう手配していた。当初はVonageの"正規の広告"のようだったという。それがいつの間にか…

【執筆:バンクーバー新報 西川桂子】
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