SCAN DISPATCH は、アメリカのセキュリティ業界及ハッカーコミュニティから届いたニュースを、狭く絞り込み、深く掘り下げて掲載します。──ジェイミィー・トーマスという30歳の女性がRIAAの訴訟に負けて、Kazaaを使ってファイル・シェアした一曲について約108万円、合計約2354万円の罰金と賠償金を申し渡されたニュースが、米国では話題になっている。話題になっている理由は、いろいろある。ひとつは、RIAA は多数の P2P ユーザーに対して無差別に「訴訟に持ち込まれたくなければ罰金を払って和解しろ」と通告しており、実際ほとんどのユーザーが和解をしているなかで、トーマス氏は「それなら法廷で会いましょう」と、訴訟を受けて立った数少ないユーザーの一人であることだろう。もうひとつは、RIAA 側の証拠を提出したのが SafeNet という、P2Pの「偽ユーザー」で、ファイルを交換するふりをしてユーザーの情報を集めていたことが、これで証明されたことだ。カリフォルニア大学リバーサイド校のコンピュータ・サイエンス&エンジニアリング学部の大学院生、Anirban Banerjee 、 Michalis Faloutsos 、 Laxmi Bhuyan 達は、「P2P: Is Big Brother Watching You?」というホワイトペーパーを発表している。これは、P2Pの「偽ユーザー」の存在と、一般ユーザーが偽ユーザーとファイルをシェアしてしまう可能性を調査した資料である。Banerjee 氏らは、まずオープンソースで手に入る「疑わしいIPのリスト」である「ブロックリスト」を偽ユーザーと仮定し、次に Planet-lab を使って全部米国東海岸、西海岸、アジア、ヨーロッパで Gnutella のクライアントを作動し、全部で 100GB の P2P のヘッダー情報を入手、これを分析した。その結果は次の…【筆者:笠原利香】【セキュリティ用語解説】ファイル共有(File Share)とはhttps://www.netsecurity.ne.jp/dictionary/fileshare.html【関連リンク】P2P: Is Big Brother Watching You?http://www1.cs.ucr.edu/store/techreports/UCR-CS-2006-06201.pdfPlanet-labhttp://www.planet-lab.org/──※ この記事は Scan購読会員向け記事をダイジェスト掲載しました購読会員登録案内 http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?w02_ssw