「ハッカーが電力会社の送電網(グリッド)を狙っている」連邦エネルギー規制委員会のパトリックH.ウッドIII会長が、今年1月、電力会社トップとの私的な会議で警告を行っていたと、今月11日の『ワシントンポスト』が報道した。会議の席上、ウッドIII会長は、電力会社はサイバーセキュリティ強化にもっと力を入れる必要があると述べている。この発言は、アイダホの米エネルギー省の研究所で、ハッカーがシステムに侵入し、大被害を与える様子をシミュレーションしたものを見たことを受けてのものだ。ウッド会長はシミュレートされた内容については、具体的には語っていないが、同研究所のケン・ワット氏は「重要インフラのインターネットベースの管理システムにハッカーが侵入し、運転を乗っ取る様子を見てもらった」と説明する。「システムに侵入した後、発電を行うタービンへの石油の供給を止め、機械を破壊してみせた」会議に出席した多くの電力会社の代表は、サイバーセキュリティについて重視しており、システム保護のための手段を講じていると答えた。しかし、企業間のセキュリティ基準には差があり、不十分な会社もあるのが現状だ。クリントンおよびブッシュ政権でテロリズム対策を担当したリチャード・クラーク元大統領特別補佐官は、「優れたハッカー、特にグループで活動を行うハッカーなら、米国の3つの電力網に侵入し、大混乱を引き起こすことができる」と危険性を認めている。【執筆:バンクーバー新報 西川桂子】──(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec