米国の大手 ISP 4 社、スパマーを提訴 | ScanNetSecurity
2024.04.26(金)

米国の大手 ISP 4 社、スパマーを提訴

John Leyden
2004年3月10日 18:59 GMT

国際 海外情報
John Leyden
2004年3月10日 18:59 GMT

 米国の大手インターネット・サービス・プロバイダ(ISP)4 社は今日(3月10日)、新連邦スパム規制法 CAN-SPAM Act に基づいて初の大規模な訴訟を起こしたと発表した。

 America Online 社、EarthLink 社、Microsoft 社 そして Yahoo! 社は昨夜、米国で大量にスパムメールを送信したとされる数百に及ぶ個人や組織を相手取り 6 件の訴訟を起こした。被告の名前を公表しない(但しYahoo! 社のみが名前を挙げている)訴訟としては、類を見ない大規模なものだ。

 カリフォルニア州、ジョージア州、バージニア州そしてワシントン州の連邦裁判所で起こされた民事訴訟の被告人らは総じて、4 つのネットワークの顧客に対して何百通というスパムメールを送信した疑いが持たれている。

 それらのスパムメールには、様々なメッセージが記されていた。具体的には、一攫千金商法、処方薬やポルノの販売、スパム勧誘のための手引き、発禁 CD、住宅ローン、卒業証書、CATV 解読機など。


・手口
 スパマーは様々な詐欺的且つ犯罪的手口を使って、スパムメールを読ませようとする。それらの手口には次のようなものがある。発信元を隠すためにサードパーティのコンピュータを使ってスパムメール送信する(すなわちオープン・プロキシの使用)、虚偽の 'from' 電子メール・アドレスの記載(スプーフィング)、スパムメッセージに物理的アドレスが記載されていない、配信停止のオプションが盛り込まれていない、など。

 各手口は、CAN-SPAM 法に違反している。同法は、詐欺的手口でジャンク・メールを送信するスパマーに厳しい罰則を科すものだ。米国の大手 ISP 4 社によると、スパムメッセージ 3 通のうち 2 通に CAN-SPAM 法に基づいて訴因となり得る詐欺の要素が含まれているという。

・金の流れ
 4 社は多数の悪質なスパマーを標的にした今回の提訴を "強化且つ調整された民事執行プログラム" と位置づけており、次回はスパマーを雇っている会社をターゲットにすると見られている。

 調査担当者は、金の流れを追跡してスパマーらを調べる予定だ。また今日の記者会見で ISP は海外でこのような行為をする米国居住者には、この米国の法律が適用されないと警告した。

 AOL の法務顧問 Randall Boe 氏は次のように述べた。「当社はジャンクメール業界の撲滅を目指し、必要とあらばスパムの黒幕も同時に退治するつもりだ。

 本日のこの会見は、CAN-SPAM 法が健在であることを明確に示すものであり、またその法律を使って悪質なスパマーの撲滅を目指している」。

・CAN-SPAM 法について
 Yahoo! 社の法務顧問 Mike Callahan 氏は次のように述べた。「CAN-SPAM 法はスパム対策において強力な後ろ盾となる。我々はユーザの受信トレイにフィルタリングなしで無差別にジャンクメールを送りつけるスパマーに対して直接責任を課すつもりだ。業界はスパムと戦うために同盟を結成した」。

 AOL 社、EarthLink 社、Microsoft 社 そして Yahoo! 社は昨年、反スパム業界団体 Industry Anti-Spam Alliance を結成した。加盟メンバーは訴訟を起こす上で、情報、リソースそして最善の調査方法等の共有を行っている。

 しかし法の執行は解決の一部にしか過ぎない、と加盟メンバーは指摘する。ユーザ全般に対して反スパム技術の装備、消費者の教育、業界と政府機関との密な協力関係が必要とされる。 Industry Anti-Spam Alliance は現在、インターネット標準として電子メールの改良された証明書および認証の策定を行っている。


[情報提供:The Register]
http://www.theregister.co.uk/

[翻訳:関谷 麻美]

(詳しくはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec

《ScanNetSecurity》

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