2003年7月 Prisoner'Choice インシデント事後対応 ベスト&ワースト 2003年7月にネット上で発生したインシデントの中で、ライター集団 Prisonerが、独自の観点で選んだインシデント事後対応 ベスト&ワーストをお送りする。>> ベストはセコム 6月中旬の問題発覚から7月上旬までの期間に、迅速で丁寧なインシデント対応をみせたセコム(株)を、今月のベストとして選出した。 問題があったサイトは、セコムの会員制ショッピングモール「セコムタウン」。ここの会員システム管理が適切さを欠いており、セコムタウン会員へのなりすましや、会員情報が流出してしまう可能性があった。 発見者は office 氏。検証を重ねた上で6月18日に第一報をセコムへ入れた。同日中に報告内容を確認したとのレスポンスがあり、その後も情報交換が行われた。綿密な報告が、発見者のoffice氏、そして一般ユーザに対しても行われている。 まずは技術的な措置。セコムタウンのメンバーサービス機能を停止させ、ユーザのメンバーID管理の方法をCookie方式からSession方式」に変更、ならびにページのプログラミング是正を行った。特筆すべきは、「成りすましが可能だった」「意図しないページへ転送される可能性があった」ことを正直に、ストレートに公開した点である。このあたりを曖昧にしたまま是正を行い、是正が終われば「セキュリティを強化しました」といったニュアンスの告知をするにとどめる企業もあるが、そうした「逃げ」の対応と今回のセコムの対応は、明らかに対極に位置しているといえるだろう。 「どういう状態であった」かと「これから何をするか」という点についての告知はスピーディで、第一報が入った18日に、すでにWeb上でなされている。その後も、中間報告が25日、再開告知が7月1日、再開実施報告が7月2日に同ページでなされており、迅速さはもとよりその内容も詳細を公開していて、好感が持てるものとなっている。 告知についてどういった主義を敷いているかを同社にお尋ねしたところ、「セコムではすべてのことに関して "正しいかどうか" "公正であるかどうか" を判断の尺度としており、この判断尺度に基づき、告知方法・内容を決定しております」とのコメントを頂いた。至極当たり前のことであるが、言行一致しているだけに説得力がある。 また、「セコムタウンの脆弱性については、セコムグループとしてはあってはならない事案であり、お客様に深くお詫びいたしますとともに、同様事案の再発防止に全力をあげております」とのコメントもいただいており、具体的な防止策として「webサイトの脆弱性診断を、2週間サイクルで定期実施し、継続的にセキュリティ対策の実施と確認」と「新サービス、新コンテンツ等の企画・開発プロセスを見直し、テスト検証体制の強化」を挙げ、実施に踏み切っている。同時に「インシデントの発見プロセスの整備やインシデント対応チームの整備等」をも検討しているという。 情報管理に問題があったことは事実であり、好ましくないことではあるのだが、その後の対応をみると、社会に「安心」を提供する企業であることの自負と気骨が充分に伝わってくるものだった。 ◇規範となりうるか?セコムの対応事例(1)(2003.7.24) https://www.netsecurity.ne.jp/article/3/10652.html ◇セコムタウン http://www.secomtown.com/>> セコムの★取り表対応の速さ ★★★★報告者との連絡 ★★★★★社内体制 ★★★★★ユーザ告知方法 ★★★★★ユーザ告知内容 ★★★★その後のフォロー ★★★★★★の数は多いほどよい。基準は下記のとおりだが、あまり客観的というわけではない。★ 最悪 なしあるいはないも同然★★ 申し訳程度。★★★ 許容範囲。★★★★ 適切な対応。★★★★★ 考えられることは全て対応。迅速。[ Prisoner DAMLAK ] (詳しくはScan本誌をご覧ください)http://shop.vagabond.co.jp/m-ssw01.shtml────────────────Scan Monthly Report Best Worsthttp://shop.vagabond.co.jp/p-sbw01.shtmlネットワークセキュリティ・インシデント年鑑2003http://shop.vagabond.co.jp/p-inc02.shtml