ホワイトハウスの要請を受けて作成された米司法省の報告書が、オンラインの匿名性に関する論議を再燃させることになった。3月9日に発表された報告書『電子フロンティア:インターネット不正使用対策』の中で司法省は、オンラインの匿名性を尊重する規定は時として犯罪捜査を阻むものであり“議論の余地がある”と述べた。この60ページに及ぶ報告書を起草したJanet Reno司法長官は「インターネットは我々の生活に素晴らしい機会をもたらしたが、その一方で犯罪者に匿名性を保ちつつ安易に犯罪を犯す手口を与えた」と述べた。そして、連邦捜査機関がオンライン犯罪者を追跡する際、捜査を困難にしている要因として現法律の“欠陥”を上げ、現在の先端技術状況を鑑み法律を改正すべきと議会に提言した。 他方、プライバシー擁護団体は今回の報告書が政府機関の権力拡大につながると懸念を表明し、現在のオンライン・プライバシー保護規定を骨抜きするための口実であると述べた。 しかし業界団体の全米情報技術協会は、この報告書を支持する意向だ。同協会のHarris Miller会長は、現法律の欠陥に関する意見に同意すると述べ、特に法廷に提出する証拠を収集する際には問題が生ずると語った。しかし、新しい法律の策定には業界が全面参与し、慎重に進める必要があると述べた。