楽天シンフォニー株式会社は12月20日、船舶のサイバーセキュリティとデジタルトランスフォーメーション(DX)に対応する、船舶ライフサイクルを通じた包括的なソリューション「Rakuten Maritime」をグローバルで本格提供開始すると発表した。韓国CYTUR Inc.と楽天シンフォニーの提携で提供する。
同ソリューションは、「特定」「保護」「検出」「対応」「復旧」を5つの柱とするサイバーセキュリティフレームワークで船舶ライフサイクルを通じたセキュリティ対策を可能とする。同ソリューションは、船舶の安全や海洋環境の保護を目的とする国際船級協会連合(IACS)が定めた「船舶のサイバーレジリエンスに関する統一規則(UR E26 / E27)」に準拠している。
同ソリューションでは、IoT・クラウド・モバイルネットワーク・ゼロトラストサイバーセキュリティ技術を統合し、高性能な船舶向けに設計から運用まで下記のエンドツーエンドソリューションを提供する。
・IoT統合:センサーデータの収集・分析・活用による運用効率の向上など、船上に設置するIoTデバイスを効果的に管理・統合する。
・クラウドベースのデータ管理:船陸間の安全なデータ伝送と保管を行い、クラウドプラットフォームを通じてリアルタイムのデータアクセスとコラボレーションを実現する。
・サイバーセキュリティ対策:海事業界におけるサイバーリスクをリアルタイムで検知して防止し、ランサムウェアやフィッシング攻撃に関する情報を提供する。
・運用効率の最適化:船舶の操縦とセキュリティ管理に必要な時間・コスト・人的資源を削減し、レジリエンスを最大化する。
同社によると、同ソリューションの利用で、従来の船舶システムと比較してサイバーリスクを特定・解析する件数を400%改善し、これまで見過ごされてきたリスクの特定・解析も可能となるほか、セキュリティ設計に必要なリソースを83%削減し、船舶建造期間の短縮、コストの削減、セキュリティの強化を実現できるとのこと。
楽天シンフォニー インターネットサービスビジネスユニット プレジデントのライアン・ソン氏は「多くの国で政府機関や企業が船舶のDXを追求する中、海事業界は国際基準を満たす包括的なセキュリティソリューションが不足しています。私たちは本ソリューションにより船舶サイバーセキュリティを強化することで、高性能な船舶の開発において大きな革新をもたらすことを目指しています」とコメントしている。