【マンスリーレポート2004/04】インシデント事後対応(特別編)日本信販で起きた10万件の顧客情報流出の可能性を検証 | ScanNetSecurity[国内最大級のサイバーセキュリティ専門ポータルサイト]
2017.09.23(土)

【マンスリーレポート2004/04】インシデント事後対応(特別編)日本信販で起きた10万件の顧客情報流出の可能性を検証

製品・サービス・業界動向 業界動向

 毎月ごとにネット上で発生したインシデントの中で、ライター集団Prisonerが、独自の観点で選んだインシデント事後対応 ベスト&ワーストをお送りしている。しかし今回取り上げるNICOS(日本信販)は、顧客情報流出の「可能性がある」という調査段階であるため、ベスト・ワーストに当てはめずに、クレジットカード会社各社におけるこれまでの事例を絡め、現在の潮流を抽出してみたい。


>> NICOS、10万名の顧客情報流出の可能性

 4月26日、NICOS(日本信販)は4月26日、最大99,789名の顧客情報が流出した可能性があると発表した。

 事の発端は今年3月、NICOSカード会員からの問い合わせだった。聞いたことのない債権管理会社から、身に覚えのない有料サイトの料金請求が来ているという。「日本信販」という名称は封書上に掲げられてないものの、氏名・住所の記載方法が日本信販と同じ表現を用いていたことから、同社はこの段階で調査を開始した。

 同社が辿った調査の経緯は、まずオンライン上の「漏れ」、つまりシステムへの不正アクセスがなされたかどうかの調査を行っている。その過程で2件目の問い合わせが生じ、システム上の調査と並行して「2件の共通点」という観点からの調査も開始した。3月末には3件目の問い合わせがあり、この段階で同社は調査委員会を設置。全システムのデータ調査を始めている。

 こうした同社の調査経緯に不備はないと思われる。顧客リストまるごとが他人の手に渡っていた、個人情報を収録したメディアそのものが紛失した、ということであれば、それが判明した時点で事実上の「流出」ということになるが、本件のように問い合わせが重なっていく場合は、そのつど「可能性」を絞っていく必要があるだろう。ただ思うのは、同社やクレジットカード会社に限らず、昨今は「リストまるごと」よりも同様の問い合わせが積み重なっていき、流出の事実が判明する(もしくは判明しない)、可能性が生じる、といったパターンのほうが多くなりつつある、ということだ。この段階の事後対応としては「どの段階で公表すべきか」という懸案が発生してくる。

 同社が今回、「可能性がある」として公表に踏み切ったのは、調査の過程で問い合わせたユーザ3名のデータが同一のDM用顧客ファイル上に存在していたことがひとつの要因であるといえる。このファイルには、今年一月に同社が行った保険商品のDM用に抽出したプロパーカード会員99,789名分の個人情報が記載されていたとのこと。

 このファイルはMOメディアに収録され、DM委託会社とやりとりされていたが、MOそのものは紛失していない。なお同ディスクには他ファイルを含め計216,407名分の顧客情報が記録されていたが、問い合わせのあった4名のユーザが記載されていたファイル以外からの問い合わせは生じていないとのこと。こうした点から、当該ファイルのみ流出した可能性が高い、という判断がなされたことになる。

 上記した経緯は、同社サイト上で告知されており、TOPページからリンクが張られている。同ファイル上に情報が記録されていた99,789名には、情報流出の可能性が高い旨、および心当たりのない請求に対する注意喚起を文書で発送したとのこと。

 さらに安全管理についての強化策も5月4日、同社HPに公表されている。「まだ“可能性”の段階だから」として、顧客を保護するための措置も公表もしない企業もあるだろう。だが「可能性」の段階であってもユーザが不安を抱くことにかわりなく、その意味では、今回の同社の公表は一定の評価ができる。

 なお、本件については同社広報担当から、『個人情報関連対策本部を設置し、社内のみならず、業務委託先を含めた調査を、社外の専門調査機関に依頼し、現在も鋭意実施中であります』とのコメントをいただいている。


[ Prisoner DAMRAK ]

(この記事には続きがあります。続きはScan本誌をご覧ください)
http://www.ns-research.jp/cgi-bin/ct/p.cgi?m-sc_netsec

《ScanNetSecurity》

Scan PREMIUM 会員限定

もっと見る

Scan PREMIUM 会員限定特集をもっと見る

Scan BASIC 会員限定記事

もっと見る

Scan BASIC 会員限定記事特集をもっと見る

[Web小説] サイバー探偵 工藤伸治の事件簿サーガ (シーズン 1~6 第1話)

もっと見る

[Web小説] サイバー探偵 工藤伸治の事件簿サーガ (シーズン 1~6 第1話)特集をもっと見る

カテゴリ別新着記事

製品・サービス・業界動向 カテゴリの人気記事 MONTHLY ランキング

  1. 次世代FW+Sandbox+SIEM+SOCの管理体制が限界を迎えるとき~三年後を先取りするVectra Networks社製品とは

    次世代FW+Sandbox+SIEM+SOCの管理体制が限界を迎えるとき~三年後を先取りするVectra Networks社製品とは

  2. 「サイバーセキュリティ関連で最もクールな4つの職種」を発表(マカフィー)

    「サイバーセキュリティ関連で最もクールな4つの職種」を発表(マカフィー)

  3. 30年度サイバーセキュリティ政府予算730億円、防衛省と厚労省が各45億円超(NISC)

    30年度サイバーセキュリティ政府予算730億円、防衛省と厚労省が各45億円超(NISC)

  4. 世界の大規模漏えい事故から、日本企業の「社外」にある情報資産を可視化(イード)

  5. 顔認証システムの現状、顔写真を使った「なりすまし」も3Dデータ照合で防ぐ

  6. ルートゾーンKSKの情報更新など呼びかけ、期限は9月19日まで(総務省)

  7. 自分の利用しているサーバの状況を確認する方法 不正中継確認

  8. ルートゾーンKSKロールオーバーのプロセス開始、DNSパケットサイズに注意(JPRS)

  9. アジア以外ではランサムウェアの検出数が前年の2倍に、脅威の進化も(チェック・ポイント)

  10. ディープラーニングを採用したイスラエルのエンドポイント保護製品を発売(アズジェント)

全カテゴリランキング

★★Scan PREMIUM 会員限定コンテンツにフルアクセスが可能となります★★
<b>★★Scan PREMIUM 会員限定コンテンツにフルアクセスが可能となります★★</b>

経営課題としてサイバーセキュリティに取り組む情報システム部門や、研究・開発・経営企画に携わる方へ向けた、創刊19年のセキュリティ情報サービス Scan PREMIUM を、貴社の事業リスク低減のためにご活用ください。

×