【第61回 プロバイダの責任 ~東京高裁平成12年1月19日判決その1~】(弁護士・弁理士 日野修男) | ScanNetSecurity[国内最大級のサイバーセキュリティ専門ポータルサイト]
2017.10.24(火)

【第61回 プロバイダの責任 ~東京高裁平成12年1月19日判決その1~】(弁護士・弁理士 日野修男)

製品・サービス・業界動向 業界動向

 180.事件の概要 プロバイダ(パソコン通信事業者)Yは、これまでのネット運営の不都合を改善するため、電子掲示板(判決ではプロバイダYが使用していた名称である「サロン」が用いられています)のメニューを全面的に改編する(このメニューの全面的改編を以下「リニューアル」といいます)とともに、各電子掲示板(サロン)のシスオペを解任し、プロバイダの運営方針に合致した者を再任しました。 X(原告)は、自分がシスオペを勤める電子掲示板のデータをすべて抹消したり、プロバイダの運営を批判するシンボルマークをハンドルネームに使用して、プロバイダの運営に対する批判・非難を内容とする非常に多数の書き込みを電子掲示板に行い、また、プロバイダと会員の団体交渉の席で無許可で撮影したプロバイダの役員の顔写真をインターネット上で公開したり、交渉を担当したプロバイダの役員に対し「鉄槌を下す」旨の電子メールを送付したりしました。プロバイダは会員規約違反を理由として、XのIDを抹消(会員資格の取消)しました。181.原告の請求・訴訟提起・第一審判決 これに対して、原告(X)は、平成8年8月8日、会員たる地位の確認と、シスオペを解任されたこと、IDを削除されたことにより精神的苦痛を被ったとして、プロバイダ(Y)100万円の損害賠償を求め、東京地方裁判所へ訴えを提起しました。 これに対して、平成10年12月21日、東京地方裁判所は「原告Xには形式的に規約に違反する行為はあったが、他方、当該違反行為をするに至った経緯等諸般の事情を勘案すると、原告Xに対してパソコン通信サービスの提供を継続しがたい重大な事情があったとまではいうことができず、原告の右行為が第二規約に定める解除事由にあたるとして本件契約を解除することはできないというべきである。」としました。 また、不法行為を理由とする損害賠償請求については、「ID抹消に関しては、前示のとおり、原告にもローカル・ルールに違反した書込をし、隠し撮りの写真を掲載し、被告の人事に介入するがごとき要求に名を連ね、被告の社員に対して脅迫するがごときメールを送り、多額の慰謝料を要求するという過激な言動があり、形式的にはこれは各規約に違反するといわざるを得ないのであるから、本件契約の解除が許されるかどうかについては微妙な判断を要し、被告らが第二規約第一〇条一項二号、同条本文の要件を満たすと考えたことにも一定の理由があるといわざるを得ないこと等に照らすと、未だ不法行為を構成するものと認めることはできない。」とし、請求を棄却しました。日野法律特許事務所http://hino.moon.ne.jp/弁護士・弁理士 日野修男nobuo.hino@nifty.ne.jp(詳しくはScan本誌をご覧下さい。)
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