話がでかすぎて頭がついていけない。
「本気で言ってるの?」
「ISISやアノニマスをご存じでしょう。わかりますか? 彼らが勝ったかどうかはなんとも言えませんが負けてはいません。騒ぎが派手になれば“B級ハッカー狩り”を止めざるを得ないでしょう。目標がそこならこちらの方が有利とすらあたしは考えています」
「正気か? 相手は国家だぞ」
「昔と違っていまの国家は、暴力装置も金融もネットに奪われて法律以外に特別な力を有していません。サイバー空間の覇権は乱戦状態ですし、金融は仮想通貨にシフトし、国家という組織形態は弱体化しています。部分的な戦闘で勝利するのは難しくないんです。おわかりになりますか?」
議論してもムダだとわかった。こいつらがそう考えるのは革命家だからだ。国に勝てることを否定したら自分たちの基盤を否定したことになってしまう。革命家じゃないオレには勝てるとは思えない。
「諸君! 時は来たようだ」
夏神が立ち上がった。目がらんらんと輝いている。やる気満々だ。