Adobe Flash Player の Pixel Bender コンポーネントの実装に起因するバッファオーバーフローの脆弱性(Scan Tech Report)
Adobe Flash Player の Pixel Bender コンポーネントにバッファオーバーフローを引き起こしてしまう脆弱性が報告されています。
脆弱性と脅威
エクスプロイト
Adobe Flash Player の Pixel Bender コンポーネントにバッファオーバーフローを引き起こしてしまう脆弱性が報告されています。
ユーザが悪質な SWF ファイルを利用する Web ページを閲覧した場合、リモートの第三者によってシステム上で不正な操作が実行される可能性があります。
この脆弱性は、先日の 4 月 28 日に Adobe 社より急遽提供されたセキュリティアップデート (APSB14-13) で解消した問題になります。
既に、この脆弱性を悪用する攻撃が確認されており、攻撃を受ける可能性が高いことが考えられるため、影響を受けるバージョンの Flash Player を利用するユーザは可能な限り以下に記載する対策を実施することを推奨します。
2.深刻度(CVSS)
10.0
http://nvd.nist.gov/cvss.cfm?version=2&name=CVE-2014-0515&vector=%28AV:N/AC:L/AU:N/C:C/I:C/A:C%29
3.影響を受けるソフトウェア
Adobe Flash Player 11.7.700.275 以前 (Windows/Macintosh)
Adobe Flash Player 13.0.0.182 以前 (Windows/Macintosh)
Adobe Flash Player 11.2.202.350 以前 (Linux)
Adobe Flash Player 13.0.0.182 以前 (Google Chrome)
Adobe Flash Player 13.0.0.182 以前 (Internet Explorer (IE) 10/11)※1
※1 Windows 8/8.1 の IE 10/11 に同梱される Flash Player
4.解説
Adobe Pixel Bender は、画像や動画に効果をかけるカスタムフィルタやカスタムエフェクトなどを作成可能なプログラミング言語であり Shader (シェーダ) は、Pixel Bender のバイトコードをホストするクラスです。
Adobe Flash Player 10 以降では、この Pixel Bender をサポートしており、Pixel Bender コンポーネント (flash.Display.Shader クラスなど)※2 で Shader を扱います。
Adobe Flash Player には、flash.Display.Shader クラスにおける Shader の取り扱いに不備があるため、配列オブジェクトを操作する不正な Shader バイトコードが埋め込まれた SWF ファイルを処理した場合に、バッファオーバーフローが発生する脆弱性が存在します。
これにより、Vector オブジェクトが利用するメモリ領域が上書きされ、その結果、任意のアドレスにある不正な関数テーブルを参照させることが可能となります。
この脆弱性を利用することで、リモートの攻撃者は、Flash Player を実行するユーザの権限で任意のコード実行が可能となります。
この脆弱性は、シリア反体制派を狙った水飲み場型攻撃として利用され、シリア法務省の Web サイト (jpic.gov.sy)※3 にエクスプロイトコードが埋め込まれていたと Kaspersky 社はブログで公表※4 しています。
※2 http://help.adobe.com/ja_JP/FlashPlatform/reference/actionscript/3/flash/display/package-detail.html
※3 シリア政府に対して意見や苦情を投稿可能なフォーラムサイト
※4 https://www.securelist.com/en/blog/8212/New_Flash_Player_0_day_CVE_2014_0515_used_in_watering_hole_attacks
5.対策
以下の Web サイトを参考に、下記のバージョンの Adobe Flash Player にアップデートすることで、この脆弱性を解消することが可能です。
Adobe Flash Player 11.7.700.279 以降 (Windows/Macintosh)※5
Adobe Flash Player 13.0.0.206 以降 (Windows/Macintosh)
Adobe Flash Player 11.2.202.356 以降 (Linux)
Adobe Flash Player 13.0.0.206 以降 (Google Chrome)
Adobe Flash Player 13.0.0.206 以降 (IE 10/11)
Adobeセキュリティ情報 APSB14-13:
http://helpx.adobe.com/jp/security/products/flash-player/apsb14-13.html
※5 なお、Adobe Flash Player 11.7.x は、2014 年 5 月 13 日付けでサポート終了となることが Adobe 社のブログで公表されています。
このため、Adobe Flash Player 13.0.0.206 以降にアップグレードすることを推奨します。
Upcoming changes to Flash Player's extended support release
http://blogs.adobe.com/flashplayer/2014/03/upcoming-changes-to-flash-players-extended-support-release.html
6.ソースコード
(Web非公開)
(執筆:株式会社ラック サイバー・グリッド研究所)
※Web非公開該当コンテンツ閲覧をご希望の方はScan Tech Reportにご登録(有料)下さい。
Scan Tech Report
http://scan.netsecurity.ne.jp/archives/51916302.html
ソース・関連リンク
関連記事
Scan PREMIUM 会員限定記事
もっと見る-
-
範を示す ~ MITRE がサイバー攻撃被害公表
「MITRE はこのインシデントを開示しました。これは当団体が公共の利益のために活動し、企業のセキュリティ強化のためのベストプラクティスを提唱し、業界の現在のサイバー防御体制強化に必要な措置を講ずると約束しているからです」
-
AI とドローン利活用最悪事例 ~ 米保険会社 住宅空撮し保険契約 猛烈却下
保険契約の申し込みや更新を処理するコストの低下を追求するあまり、保険会社は不正確な査定を行い、さらにはプライバシーを侵害するという最悪の方向に向かっているようだ。
-
北 中華製AIを攻撃活用/北 DMARC不正利用/北 日本のアニメ制作関与か ほか [Scan PREMIUM Monthly Executive Summary 2024年4月度]
Microsoft Threat Analysis Center は、中国および北朝鮮の脅威アクターによる人工知能(AI)を活用した直近のサイバー活動を報告しています。いずれ中国や北朝鮮の脅威アクターは、中国製 AI を活用することでのサイバー活動にシフトし、「AI + セキュリティ」の活動は一般的になるとみられます。