それから小一時間、オレと夏神は黙々と作業を続けた。夏神はオレのリビング兼事務所を占拠して、ノートパソコンと見たこともない無線機のようなものをいじくり、オレは自分の部屋にこもって盗まれたと思われる情報をリストアップした。
「スティングレイが八〇%以上の確率で使用中だね。スティングレイの検知方法はいくつかあって、どれもあくまで推定に過ぎないんだけど、いくつか試して全部当たりだったから、まあ現在進行形で盗聴されてると思っていいんじゃないかな」
やがて夏神が高らかに宣言したので、オレは部屋から出てリビングに移動した。
「ウソだろ? ここは日本だぞ」
夏神に言われて予想していたとはいえ、まさかと思う。
「サイバー犯罪に国境はない」
うれしそうに夏神が笑う。