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サイバー戦争は宣戦布告もなく日常的に発生し継続していると形容されることが多い。本書は 512 ページに及ぶアメリカのサイバー戦史とでも言うべきものだ。20 世紀末のアメリカへの攻撃=ムーンライトメイズから始まり、現在にいたるまでのロシア、中国、北朝鮮との戦いの記録だ。個別の事件の詳細が描かれているのはもちろんだが、どのような人物がどのような立場で関係していたかも詳述されている。
著者のデービッド・サンガーはオリンピックゲームズ作戦を暴いたことで知られるジャーナリストでピュリツァー賞を複数回受賞している。サイバー戦のノンフィクションは日本ではほとんど刊行されることがないが、アメリカなどでは当たり前のように数々の良書が刊行されている。その中でも本書は特に内容が濃い。