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[特別連載] スティーブン・ポール・ジョブズの人生と時代 第1部 第8回

スティーブン・ポール・ジョブズの人生と時代 第1部 第8回
?小学校の暴れん坊からiMacによる復活へ

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スティーブン・ポール・ジョブズの人生と時代 第1部 第8回
~小学校の暴れん坊からiMacによる復活へ

By Rik Myslewski in San Francisco
Posted in PCs & Chips, 6th October 2011 01:57 GMT

ベビーシッターから億万長者へ

1994年はジョブズにとって、ぼろぼろの年として始まった。2歳のリード・ポール・ジョブスのせいでも、結婚して3年になる妻ローレン・パウエル・ジョブズのせいでもなかったのだが。この時期、ジョブズは多くの時間を(この年の初頭は特に)、家で過ごしていたと、様々な情報筋が告げている。

しかし2月、彼は良い知らせを受けとった。ディズニーがトイ・ストーリー・プロジェクトを直ちに停止した後、ピクサーの天才クリエイター、ジョン・ラセターとそのスタッフが、カッツェンバーグの批判を重く受け止め、スクリプトを書き直した。それをディズニーに持参すると、カッツェンバーグがゴーサインを出したのだ。ピクサーの映画製作事業への復帰である。

最初ジョブズは、このプロジェクトに熱意を持っておらず、ピクサーをマイクロソフトなど、見込みの有りそうな2、3の相手に売却しようとしていた。

ジョブズのピクサーに対する考えは、1995年1月、その年の超大作アニメーション2つのクリップをお披露目するべく、ニューヨークのセントラル・パークで開催されたディズニーの豪華なイベントに出席した時、変わった。夏に公開予定のポカホンタス、そして収益の上がる感謝祭時期に公開予定のトイ・ストーリーだ。

Buzz Lightyear, Pixar's John Lasseter, and Woody

スティーブ・ジョブズを億万長者にした3人の男:バズ・ライトイヤー、トイ・ストーリーの作者でディレクターのジョン・ラセター、ウッディ


トイ・ストーリーの共同製作者ラルフ・グッゲンハイムは、そのイベントでピクサーのフィルムに注目が集まったことで、「スティーブは気が狂ったようになった」と、Alan Deutschmanに語っている。同イベントには、CEOマイケル・アイズナーなどディズニーの最高幹部ばかりでなく、ニューヨーク市長でセレブのルーディ・ジュリアーニや様々な他のVIPが出席していた。

「これはディズニーとの仕事が、それまで想像していたよりもはるかに大きな何かを実現するかもしれないことにスティーブが気づいた、まさにその瞬間だったんだ。」とグッゲンハイムは回想する。「そしてNeXTが招いた苦境からの突破口がピクサーだ、ということに。」

同イベントの後、ジョブズはピクサーの日常業務により関与するようになった。2月、彼は会社を上場することを目的として、EFIのCFOローレンス・レヴィをピクサーの同じポジションに雇い入れた。そして大胆にも、トイ・ストーリーの感謝祭デビュー直後に株式公開を予定していた。

もし映画が成功すれば、そのヒットが株式公開を後押しする。もし失敗すれば、株式公開も同じ運命をたどる。

トイ・ストーリーは11月22日にデビューし、株式公開は11月29日に行われた。公開直後の週末、トイ・ストーリーはアメリカのナンバー・ワン・ムービーとなり、最初の3週間もナンバー・ワン、さらにクリスマスと新年の休暇期間中もナンバー・ワンとなった。

Box Office Mojoによれば、ピクサー初の作品は、1995年にナンバー・ワンの興行収入を上げた映画となり、最終的に世界で361,958,736ドルを稼ぎ出したという。

では新規株式公開は? ピクサーは1992年以来毎年損失を出しており、同社の株式は、有価証券報告書の予備申請では12ドルから14ドルで提供されることになっていたが、NASDAQでの取引初日、寄付き値は22ドルだった。株は39ドルに売り戻しが行われる前に、その日の間に49.50ドルに上昇した。

Specimen Pixar IPO certificate with Steve Jobs' signature (source: Scripophily.com)

スティーブ・ジョブズのサインが入ったピクサー株式公開証明書の見本(提供:Scripophily.com)


ジョブズはピクサーの株のうち80.2パーセントを所有していた。株式公開により、彼は大金持ちとなる。デビッド・プライスはメイキング・オブ・ピクサーで、次のように書いている:「株式公開の後、ピクサーの株は11億ドル以上と評価された。そしてこの数字の丸め誤差は、彼が10年前にアップルを去った時の、彼のアップル持ち株の額とほぼ同じだった。」(原文

© The Register.


(翻訳:中野恵美子
略歴:翻訳者・ライター
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