Metabase においてセットアップ用アクセストークンの漏えいにより認証が回避可能となる脆弱性(Scan Tech Report) | ScanNetSecurity
2024.04.27(土)

Metabase においてセットアップ用アクセストークンの漏えいにより認証が回避可能となる脆弱性(Scan Tech Report)

2023 年 7 月に、データ可視化ソフトウェアである Metabase に、遠隔からの任意のコード実行が可能となる脆弱性が報告されています。

脆弱性と脅威
(イメージ画像)
◆概要
 2023 年 7 月に、データ可視化ソフトウェアである Metabase に、遠隔からの任意のコード実行が可能となる脆弱性が報告されています。脆弱性を悪用されてしまった場合は、Metabase の実行権限で Metabase が稼働しているサーバに侵入されてしまいます。ソフトウェアのアップデートにより対策してください。

◆分析者コメント
 脆弱性は容易に悪用可能なものであり、すでに複数種類の攻撃コードが公開されています。Metabase の公式アドバイザリによれば、具体的な悪用事例は確認されていないとのことですが、攻撃の難易度が低いため早急な対策が必要であると考えられます。

◆深刻度(CVSS)
[CVSS v3.1]
9.8
https://nvd.nist.gov/vuln-metrics/cvss/v3-calculator?name=CVE-2023-38646&vector=AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H&version=3.1&source=NIST

◆影響を受けるソフトウェア
 以下のバージョンの Metabase が当該脆弱性の影響を受けます。

* OSS 版
  * 0.43.7.2 未満
  * 0.44.7.1 未満の 0.44 系
  * 0.45.4.1 未満の 0.45 系
  * 0.46.6.1 未満の 0.46 系

* Enterprise 版
  * 1.43.7.2 未満
  * 1.44.7.1 未満の 1.44 系
  * 1.45.4.1 未満の 1.45 系
  * 1.46.6.1 未満の 1.46 系

◆解説
 データ可視化ソフトウェアとして世界的に利用されている Metabase に、遠隔からの任意のコード実行につながる、認証回避の脆弱性が報告されています。

 脆弱性は、/api/session/properties という URI からソフトウェアのセットアップに用いるアクセストークンが入手可能であり、そのアクセストークンがセットアップ完了後でも使用可能な点にあります。アクセストークンの流用により、攻撃者は脆弱な Metabase の認証後操作が可能となりますが、当該脆弱性が存在するバージョンの Metabase では、組み込みライブラリとして SQL インジェクションの脆弱性が存在するバージョンのデータベースソフトウェア H2 Database が用いられています。よって攻撃者は、認証回避の脆弱性を悪用後に、H2 Database 経由での SQL インジェクションにより、対象ホストに対する遠隔からの任意のコード実行が可能となります。

◆対策
 Metabase のバージョンを脆弱性の影響を受けないバージョンにアップデートしてください。

◆関連情報
[1] Metabase 公式 GitHub
  https://github.com/metabase/metabase/releases/tag/v0.46.6.1
[2] Metabase 公式
  https://www.metabase.com/blog/security-advisory
[3] National Vulnerability Database (NVD)
  https://nvd.nist.gov/vuln/detail/CVE-2023-38646
[4] CVE Mitre
  https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2023-38646

◆エクスプロイト
 以下の Web サイトにて、当該脆弱性の悪用による遠隔コード実行を試みるエクスプロイトコードが公開されています。

  GitHub - securezeron/CVE-2023-38646
  https://github.com/securezeron/CVE-2023-38646/blob/main/CVE-2023-38646-Reverse-Shell.py

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《株式会社ラック デジタルペンテスト部》

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