国土交通省は2月25日、津波災害時の避難に対する一方策として、「浮いて生き延びる」津波救命艇の試作艇を開発、建造したと発表した。四国運輸局がIHIに委託し、建造した。津波救命艇は、近くに避難場所がない避難困難地域や、幼児や高齢者など災害時の要援護者を津波から守るために開発されたもので、避難者が艇内で安全安心に過ごせるほか、転覆しても元の状態に戻る自己復原性能や秒速10mの津波流のなかでも衝突に耐える性能を備えている。救命艇には大人25人が座れるスペースがあり、貯蔵庫には水や食料が7日分以上常備されているほか、医薬品や衛生用品、防寒シート、充電器などの生存キットが備えられている。津波が引くと地面に着地して陸に残るが、海に流れ出てしまった場合でも自分の位置を自動的に知らせる装置を持っているため、海上保安庁や自衛隊などによる救助も容易だという。同省では、近隣に避難場所がない地域の有効な津波防災対策としての活用が期待されるとしている。