11月24日から26日にかけて、社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(JPNIC)主催の「Internet Week 2010」が、秋葉原の「富士ソフトアキバプラザ」で開催される。今回で14年目となる Internet Week は、年に一度インターネットに関わる技術の研究・開発や、構築・運用・サービスの関係者が一堂に会し、ここ1年間の最新動向を把握する非商用イベントである。本稿では、Internet Week 2010の合計25のセッションのうち、情報セキュリティに関する7セッションに絞って、各セッションのコーディネーターに、なぜそのセッションが開催されるのか意義や背景を聞く。第2回となる今回は、2日目、11月25日の午前に行われるプログラム「インターネット上のブロッキング問題を検証する」について、社団法人日本インターネットプロバイダー協会の木村孝氏に取材した。Internet Week 2010https://internetweek.jp/─このプログラムを設けられた背景や目的は何でしょうか?児童ポルノに対する規制強化の世界的な流れを受けて、日本でも今年、児童ポルノのインターネット上での流通を防止するため、ISPによる「ブロッキング」の導入を支援することが政府の方針として決まりました。日本では憲法上、通信の秘密や表現の自由が保障されており、ISPは従来、通信の秘密については厳重に取り扱ってきました。違法な児童ポルノ画像や動画とはいえ、例外的にISPがネットワーク上でコンテンツを監視し、それを遮断するということは日本では初めての試みです。このため、通信の秘密や表現の自由に対する例外が認められることになれば、それが今後拡大する懸念があるとして、児童ポルノについて関心のない人にとってもブロッキング問題は無関係ではいられなくなってきています。そこで今回、ブロッキングを巡る諸問題を概観し、その上で主に技術的な課題について検討したいと思い、本プログラムを用意しました。─具体的な内容は何でしょうか?まず、ブロッキングの概要として、海外の事例をはじめ、ブロッキングの論点や限界、ISP 競争環境への影響などを紹介します。その後、ブロッキングの法的問題や技術的手法を紹介し、それらの内容を踏まえた上で、最後に登壇者全員によるパネルディスカッションを行ないます。─プログラムの対象者はどのような方ですか?インターネットの技術者やオペレーター、ISP のサービス企画者、および通信の秘密や表現の自由に関心を持つインターネットのユーザーを対象としています。─最後に、読者にメッセージをお願いします。このプログラムでは、「ブロッキング」がそもそも技術的に可能なのか、それが本来の児童ポルノ流通防止のために有効なものなのか、憲法や法律上どのような理由でそれが認められるのか、といった観点でこの問題についての有識者の意見を聞きたいと思っています。なお、当日の夕方にはこの問題についてのBoFも予定しています。是非そちらも合わせてご参加ください。●アジェンダ「S8 インターネット上のブロッキング問題を検証する」開催日時:2010年11月25日(木) 9:15〜11:45会場:富士ソフト アキバプラザ料金:事前料金 5,000/当日料金 7,000URL:https://internetweek.jp/program/s8/9:15〜9:45 1) ブロッキングの概要楠 正憲(マイクロソフト株式会社 技術標準部 部長)9:45〜10:15 2) ブロッキングの法的問題森 亮二(弁護士、安心ネット作り促進協議会 児童ポルノ対策部会主査)10:15〜10:45 3) ブロッキングの技術的手法の紹介北村 和広(安心ネット作り促進協議会 児童ポルノ対策部会ISP技術者サブワーキングリーダー)10:45〜11:45 4) ブロッキング問題についてのパネルディスカッション司会:木村 孝(JAIPA行政法律部会長)パネリスト:楠 正憲(マイクロソフト株式会社 技術標準部 部長)森 亮二(弁護士、安心ネット作り促進協議会 児童ポルノ対策部会主査)北村 和広(安心ネット作り促進協議会 児童ポルノ対策部会ISP技術者サブワーキングリーダー)※特典:このセッションにお申込いただいた方でご希望の方全員に「Scan Tech Report(スキャン テック レポート)」の購読(有料:個人年間9,840円)を無料でプレゼントします※時間割、内容、講演者等につきましては、予告なく変更になる場合があります