●予想される通信傍受法の改正1999年8月に犯罪捜査のための通信傍受のための法律(通信傍受法)が成立し、翌2000年8月に施行されている。この法律は電話の傍受だけでなく、インターネット・メールの監視も予定している。通信傍受法は、制定当時、強い国民的な反対の状況の中で、最終的に、通信傍受ができる対象犯罪を、薬物犯罪、銃器犯罪、集団密航に関する犯罪、組織的殺人の4種類の犯罪に限定したことから、実際には、現在までほとんど利用されていない。そのため、警察関係者からは、通信傍受法は大変に使い勝手の悪い法律であるから「改正」すべきであるという声が出されている。将来、共謀罪が成立すれば、共謀罪を検挙するためには、コミュニケーションを傍受して証拠化しなければ立件が困難になることを理由に、警察や検察は、間違いなく、通信傍受の対象犯罪に共謀罪を追加するとともに、もっと使い勝手を良くするために、通信傍受法の改正を求め、政府はそれを推し進めようとするだろう。また、現在、我が国では認められていない「室内盗聴」が認められるようになるかもしれない。また、前述したサイバー犯罪条約は、通信履歴のリアルタイム収集や通信内容のリアルタイム傍受の法制化を締約国に求めており、日本政府は、それを理由に、通信傍受法の改正を推し進めるかもしれない。いずれにしても、共謀罪が新設されれば、国家が、電話回線やインターネットを利用した国民と国民のコミュニケーションを監視する時代が訪れるだろう。【執筆:山下幸夫(弁護士)】── この記事には続きがあります。 全文はScan Security Management本誌をご覧ください。 https://www.netsecurity.ne.jp/14_3697.html