ところが9月25日、同空港の障害が実は空港システムを破壊する目的でリモートから送られた悪性コードの仕業であったことが判明し、インド中央捜査局(CBI / Central Bureau of Investigation)が調査に乗り出した。CBIは悪性コードを、空港システムの脆弱性をよく知る人物によって書かれた攻撃スクリプトと説明している。
インディラ・ガンジー国際空港ターミナル3は昨年7月14日に開業。約4,600万人の旅客が利用できるようになり、これによりIGIはインドを含む南アジアで最大かつ最重要のハブ空港となった。なお、当Far East Researchは6月20日付け記事にて同空港併設ホテルにおける大量の個人情報流出事故をもお伝えした。IT強国といわれるインドだが、その強みはプログラマー個人がもつ能力と人件費のコストパフォーマンスにあるのだろう。ネットワークセキュリティ分野は社会文化的な部分が大きく影響する。これはインドにしばらく滞在した筆者の個人的意見だが、特に時間に対するインド人のルーズさ、またそれを当然のように許容するインド社会の鷹揚さと、厳格なセキュリティポリシーとは根本的に相容れないのではないか、と思うことがある。たとえば、パキスタンのハッカー組織は対インド攻撃に熱心だが、その逆はあまり見かけない。インドのサイバー関連法律が厳しいという理由もあるのだが、パキスタン側の「攻撃の成果」を見ると、インド側のセキュリティの甘さが目立つのは否めない。