トレンドマイクロ株式会社は7月20日、東京地裁が同日、2010年8月に「タコイカウイルス」を作成したとして逮捕・起訴された作者に対し、懲役2年6か月の実刑判決を下した(求刑は懲役3年)ことをブログで取り上げている。このウイルスは、アニメなどの動画に偽装したファイル名、アイコンのファイルをユーザがファイル共有ソフト経由でダウンロードし、ファイルを実行するとタコやイカのアニメ動画が流れ、その背後でPC内のファイルをすべてタコやイカの画像に置き換えるという動作を行う。PCの起動に必要なファイルまでも削除してしまうため、PCが利用不能になる。ウイルスの作者は2010年8月、ユーザのパソコンを使用不能にしたとして器物損壊の容疑で逮捕された。これは当時、日本では不正プログラムの所持や作成を取り締まる法整備がなされていなかったためで、2008年に通称「原田ウイルス」作成で逮捕された関西の大学院生(当時)も、実在するアニメの画像を勝手に利用した著作権法違反と実在の知人の写真などを勝手に利用した名誉毀損で有罪判決となっている。今回の裁判では器物損壊罪に該当するかどうかが争点となったが、2011年6月に衆院本会議で可決・成立した通称「サイバー刑法」によって、7月14日よりすでに「ウイルス作成罪」の適用が開始できる状態になっている。まだ議論の余地はあるが、安全なインターネット利用に向けた環境整備のためには重要な一歩としている。(吉澤亨史)http://blog.trendmicro.co.jp/archives/4377