工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン2「V-CRY」 第20回「中山」 | ScanNetSecurity
2024.04.25(木)

工藤伸治のセキュリティ事件簿 シーズン2「V-CRY」 第20回「中山」

※本稿はフィクションです。実在の団体・人物・事件とは関係がありません※

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最後の詰めとして、なじみの興信所に中山の素性などを洗ってもらった。

中山徹。三十六歳。もともとは、ネット企業のシステム部門に勤務していた。その頃から、副業としてRMTサイトを立ち上げ、個人で稼いでいたらしい。そのうち不況になって一年前にリストラされると、RMTサイトからの稼ぎだけで暮らすようになった。賞罰なし。

妻と子供はいないが、栃木県の実家の両親は健在。都内に妹が住んでいる。

ざっと見た感じでは、そんなに面倒くさい相手ではなさそうだった。これなら、少し脅かせばなんとかなるだろう。状況証拠しかないという、少々心細い状態だが、これ以上は集めるのは難しいだろう。

登記簿に記載されたマンションに行ってみると、普通のマンションだった。ガキがうろうろしているし、おばちゃんたちが敷地内で立ち話している。

登記簿に書いてある住所に、のうのうと暮らしてるなんてのんきな野郎だ、犯罪者ならもう少し気を遣えよ、と思いながら、オレはマンションに入った。生意気にオートロックになってやがる。

だが、ここで相手を呼び出すわけにはいかない。見知らぬ相手を部屋に入れるほどお人好しじゃないだろう。というか、犯人に「どうぞお入りください」、なんて言われたら100%罠だろう。

オートロックの自動ドアは、ドアの内側なら立つだけで開く。なので、A4くらいの紙をドアの隙間から入れれば開くのだ。自動ドアってのは意外と隙間がある。ドアの下、ドアとドアの隙間。ここのドアは、下には隙間がなく、ドアとドアの段差があって紙を差し込みにくいようになっていた。オレのようなヤツがオートロックを突破するのを防ぐためだ。

《ScanNetSecurity》

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