Microsoft バグ報奨金プログラム 10 周年 バグバウンティは安全性を高めているか? | ScanNetSecurity
2024.05.17(金)

Microsoft バグ報奨金プログラム 10 周年 バグバウンティは安全性を高めているか?

 さらにケイティ・ムーサリス氏を称えた。Microsoft 経営陣はバグに関して、リサーチャーに報酬を支払うことは「絶対ない」と言っていたのだが、ムーサリス氏が中心となって、Microsoft にはバグ報奨金プログラムが必要であると Redmond 上層部を説得した。最終的に Microsoft に転機をもたらしたのは、独自ブラウザで Internet Explorer の市場優位性に挑んできた新興企業Google を打倒したいという思いだった。

国際
https://msrc.microsoft.com/blog/2023/11/celebrating-ten-years-of-the-microsoft-bug-bounty-program-and-more-than-60m-awarded/

 Redmond(編集部註:Microsoft 本社)によると、Microsoft のバグ報奨金プログラムは今年で 10 周年を迎えたが、この最初の 10 年でセキュリティリサーチャーに支払われた金額は 6,300 万ドルにのぼり、うち 6,000 万ドルが過去 5 年にバグハンターに支払われた報奨金であった。

 現在では、脆弱性開示と報奨金プログラムは巨大ソフトウェア企業にとってごく当たり前のことになっているようだが、Microsoft の法人バイスプレジデント 兼 次席 CISO(情報セキュリティ最高責任者)アンチャル・グプタ氏は、「10 年前にはバグ報奨金という取り組みに対し、社内の抵抗がなかったわけではありません」と振り返る。

 このプログラムの 10 周年を記念した今週の記事で、グプタ氏は、プログラムにおける最初の報告は、Internet Explorer11プレビュー版の脆弱性と、Windows 8.1 の欠陥の悪用についてであったと述べている。2013 年当時は、IEプレビュー版における欠陥発見に対して報酬が支払われるなんて、かつてない新しいことだったと彼女は言う。

 「外部からのソフトウェアセキュリティの脆弱性報告に対し、報奨金を出したのは Microsoft が最初ではありません。しかし、製品のベータ版やプレビュー版における問題発見にいち早く報奨金を出した数社の中には当社も入っていました」とグプタ氏は書いている。「できれば製品が一般リリースされる前にバグを早期発見し、解決しておくことが顧客を守る上で最も重要である、というのが当社の信念でした」

 グプタ氏はまた、特に 2018 年以降、バグ報奨金をめぐる取り組みが急激に増えた、と強調した。例えば 2019 年度、Microsoft の「報奨金報告数、プログラム参加者数、報奨金額は前年度の 2 倍以上になりました」と彼女は書いている。その 1 年後、Microsoft は、15 のカテゴリーで 300 名以上のセキュリティリサーチャーに 1,300 万ドル以上を提供し、深刻な問題に対してはさらに多額の報奨金を支払った。

 「2020 年 7 月には、顧客のプライバシーとセキュリティに深刻なリスクをもたらす脆弱性に対しては、最高 10 万ドルという高額報奨金を提供するシナリオベースのカテゴリを導入しました」とグプタ氏は振り返る。「リサーチャーたちは力を合わせ、ゼロクリックのリモートコード実行(RCE)やクロステナントの脆弱性の発見件数を前年比で 50 %以上増やしました」


《The Register》

編集部おすすめの記事

特集

国際 アクセスランキング

  1. 範を示す ~ MITRE がサイバー攻撃被害公表

    範を示す ~ MITRE がサイバー攻撃被害公表

  2. AI とドローン利活用最悪事例 ~ 米保険会社 住宅空撮し保険契約 猛烈却下

    AI とドローン利活用最悪事例 ~ 米保険会社 住宅空撮し保険契約 猛烈却下

  3. 音楽認識アプリ Shazam 、終了しても録音継続 ~ 開発元:「仕様です」 「重大なリスクはない」 (The Register)

    音楽認識アプリ Shazam 、終了しても録音継続 ~ 開発元:「仕様です」 「重大なリスクはない」 (The Register)

  4. 国連サイバー犯罪条約が「グローバル監視協定」になる危険性

  5. Larouxマクロウイルスの新種が発見される

  6. CrowdStrike Blog:CrowdStrike が紹介する「今月の攻撃者」~ VOODOO BEAR

  7. オンライン会議出席者の眼鏡から情報漏えい

  8. 製菓大手モンデリーズ、ランサム被害サイバー保険金1億ドル支払い拒否のチューリッヒと和解

  9. 次なるプライバシーの混乱を巻き起こすのは自動販売機だ~あなたが笑顔で写るのはコカコーラのカメラか、コーヒーのカメラか、あるいは監視カメラか(The Register)

  10. チューリッヒ「サイバー攻撃は戦争行為、保険適用範囲外」 ~ 米食品大手が保険会社提訴(The Register)

アクセスランキングをもっと見る

「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」
「経理」「営業」「企画」「プログラミング」「デザイン」と並ぶ、事業で成功するためのビジネスセンスが「セキュリティ」

ページ右上「ユーザー登録」から会員登録すれば会員限定記事を閲覧できます。毎週月曜の朝、先週一週間のセキュリティ動向を総括しふりかえるメルマガをお届け。(写真:ScanNetSecurity 名誉編集長 りく)

×