警察庁は3月16日、令和4(2022)年におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について発表した。
同庁では2022年のサイバー空間をめぐる脅威について、ランサムウェアの感染被害が拡大するとともに、暗号資産関連事業者や学術関係者等を標的としたサイバー攻撃が明らかとなり、下半期にインターネットバンキングに係る不正送金被害が急増するなど、極めて深刻な情勢が続いているとしている。
警察庁に2022年中に報告されたランサムウェアによる被害件数は、前年比で57.5%増となる230件で、2020年下半期以降、右肩上がりで増加している。被害は企業・団体等の規模やその業種を問わず広範に及び、国内の自動車関連企業では生産・販売活動等が停止し、医療機関では電子カルテシステムに障害が発生し、手術の延期や外来診療及び救急外来の受け入れが一時停止するなど、多大な影響が生じた。
ランサムウェアの感染経路としては、過去に報告されたVPN機器の脆弱性が依然として多くを占め、感染したシステム等の復旧までに2か月以上を要した事例や、調査・復旧のために5,000万円以上の費用を要した事例等の甚大な被害も確認されている。
インターネットバンキングに係る不正送金事犯について、2020年以降は発生件数、被害額ともに減少傾向が続いていたが、2022年下半期に急増し、2022年は発生件数が1,136件、被害総額は約15億円と、3年ぶりに前年比増となった。被害の多くがフィッシングによるものとみられ、金融機関を装ったフィッシングサイトへ誘導するメールが多数確認されている。フィッシング対策協議会によると、2022年中のフィッシング報告件数は96万8,832件と前年比で84.0%増と、右肩上がりで増加している。