[YRI Report] 国内企業のIT投資実態と予測 | ScanNetSecurity
2024.04.25(木)

[YRI Report] 国内企業のIT投資実態と予測

2014年度は消費税率が引き上げられるが国内経済の回復等から民間IT市場への影響は些少で当該市場規模は前年度比0.4%増の10兆9,830億円になると予測する。

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日本経済は2013年に入り明るさを取り戻しつつある。この背景にアベノミクス効果を上げる声も多いがIT市場規模におけるアベノミクス効果は如何ほどなのか。また次々と生み出される新規テクノロジーによりIT投資の目的に変化はあるのか。ここでは以上の点について言及したい。

2013年度の国内民間企業のIT市場規模(ハード・ソフト・サービス含む)は前年度比2.0%増の10兆9,390億円と予測する。拡大の背景には企業の経営状態が回復基調にありIT投資が増加していること等が挙げられる。事実、ここ数か月の日銀短観や法人企業景気予測調査(内閣府)のような公的指標は国内景況感について上昇傾向を示し続けている。

また、2013年度のIT市場規模の内訳はハードが前年度比2.1%減の2兆570億円、ソフトが前年度比3.6%増の3兆4,570億円、サービスが前年度比2.6%増の5兆4,250億円と予測する。ハードの減少はハード価格の低下に、サービスの増加はデータセンターサービスの拡大等に起因する。

2014年度は消費税率が引き上げられるが国内経済の回復等から民間IT市場への影響は些少で当該市場規模は前年度比0.4%増の10兆9,830億円になると予測する。

国内景況感の回復理由には安倍政権の民需に対する融和的な政策の効果も挙げられる。しかし民間IT市場におけるアベノミクス効果は極めて小さく、金額に換算するとおよそ80億円で、これは民間IT市場規模およそ11兆円のうち僅か0.07%にすぎない。

80億円というと、2013年度のMDM市場規模(エンドユーザ支出額ベース)の71億円(弊社予測)と同程度である。80億円算出根拠の詳細は弊社資料に委ねるが、簡単に示すと2013年度のIT投資増加企業のうち増加が計画外かつ公共投資による業績回復等を期待する企業の割合が如何ほどかで推計している。

最後にIT投資の目的について考察する。今後3年間のIT投資の目的について聞くと、「システム基盤全体の効率化」が49.3%で最も多く、「情報セキュリティの強化」が38.9%、「財務会計業務の効率化」が25.1%で続く。

新規テクノロジーは生み出されているが投資目的はこの3年間変わっていない。中でも「情報セキュリティの強化」は具体的な取扱いテーマを聞くと「ソーシャルメディアに対する運営方針の策定など」が12.1%である他はいずれも40~50%の回答があった。情報セキュリティの強化はどれか1つを行えば良いのではなく、全方向への対策が必要であると言えよう。
《矢野経済研究所 小山博子》

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